Top > 住まいのコラム一覧 > 初心者のためのリノベーションマニュアル 1
最近、耳にすることが増えてきた“中古住宅×リノベーション”。
初心者のために、リノベーションの流れ、必要な予算、資金計画などの予備知識をまとめた。
安心してリノベーションをはじめるために知っておきたい内容が満載だ。
■ MANUAL 1
戸建て・マンションリノベーションの「できる」「できない」
リノベーションの最大の魅力は、居住空間を自分の好みやライフスタイルに合わせて変えられること。
ただ、マンションや戸建てにはそれぞれに制約があるため、すべてを自由にリノベーションできるとは限らない。
事前に正しい知識を身につけてから、戸建て・マンションのどちらかを選ぶのがおすすめだ。
■戸建ての場合
木造戸建てリノベーション13万円/㎡~でできること
【チェック項目】
■マンションに比べて制限が少ないので、吹き抜けをつくる・キッチンやお風呂を2階に移動するなど大胆な間取り変更が可能。
■窓やドアの交換も外壁工事を行う際は可能。
■建物の工法によっては壁や柱・梁が撤去できないなど構造上の制限もあるので確認が必要。
■マンションでは設備配管の交換以外はメンテナンスはほぼ必要ないが、戸建ての場合は外壁や床下の白アリ駆除・屋根や外構などのメンテナンスが必要なため、リノベーション費用が多めに必要となる。
■鉄骨造の建物外部開口を変えることが難しい場合がある。
■建物に傾きのないことが必須条件となる。
2階にキッチンを大移動
構造補強やハンモックの取り付け
玄関ドア・窓などの取り替えや位置替え
キッチン土間に小上がりをつくる
土間スペースをつくる
庭・駐車場などの外溝
■マンションの場合
マンションリノベーション10万円/㎡~でできること
【チェック項目】
■共用部分を自由に変えることはできないため、玄関ドア・窓の交換は不可。
■床材についてはマンションの管理規約で決められている防音基準をクリアする必要がある。
■コンクリートの躯体や梁などの構造体は壊すことも撤去することもできない。
■キッチンやお風呂などは配管の交換時に大きいサイズに変更することも可能。
■トイレは共用部の配管につなぎこむ位置が決まっている場合が多いので取り付け位置は既存の場所がおすすめ。
■エアコンは室外機の置き場所が制限を受けたり、エアコン配管のために外壁に穴をあけることができないため、購入前の調査が必要。
■電気の要領に制限があるため、ガスからオール電化にすることは難しい場合が多い。
風呂・洗面・トイレなどの設備機器交換
カウンターデスクなどのオリジナル造作家具や窓の設置
占有部分の設備配管の取り替え
システムキッチンの取り替え
■ あなたは戸建て派? マンション派?
戸建て派
〇ペットが2匹以上いる
〇子どもに男の子が多い
〇自宅shopを開きたい
家族やペットが多く定住してゆったりと暮らしたいなら、
中心地ではない住宅地の中古戸建てがいいでしょう。
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マンション派
〇ハードワーカーである
〇転勤族である
〇将来は実家に戻るかも…
いずれ引っ越しや売却の可能性がある人は、
利便性の良い立地の中古マンションがおすすめ。
■ MANUAL 2
家づくりをはじめる前のお金の心得
リノベーションは、予算に応じて可能な範囲が大きく異なる。
そのため、資金計画をきちんと立てることが、かなり重要なポイントとなる。
そこで、中古住宅を購入してリノベーションする際の資金計画、利用できるローンとその特徴、減税制度など、リノベーションにまつわるお金の心得について紹介する。
■その1 資金計画をたてよう
・住宅ローンを利用する場合
税込み年収×6倍の借入額で試算してみよう。
奥様も正社員の場合は給与を合算で試算できる。
奥様のパート収入は含まない。
※勤続年数は1年以上
・ご両親からの援助を確認しよう
住宅取得等資金に対する贈与は一定金額について贈与税が非課税となる。
ただしさまざまな要件があるので確認が必要。
■その2 自己資金は1~2割
・中古不動産の価格の最低1割は用意
中古を買ってリノベーションの場合は、不動産物件価格の約1割の諸費用が掛かる。
不動産購入の際に必要な諸費用は印紙代・仲介手数料・ローン保証料・火災保険・登記費用他。
具体的に購入物件が決まっていない場合は、最低100万~200万の預金を貯めることをおすすめする。
■その3 住宅ローンを借りる
・車や他ローンは組まないほうがいい
家を買う大きな額のローンを組むときは他のローンはない方が望ましい。
ただし、預金があり銀行から住宅ローンを借りる際に全額一括返済できるならOK。
・携帯電話料金の未払いには気を付けよう
電話がつながらないだけでなく、携帯機種代金をローンで購入して契約しているということを忘れないように。
信用情報にマイナスが付く。
■その4 減税が受けられる
住宅ローン等を利用した場合で、要件を満たすと、取得等に関わる住宅ローン等の年末残高から計算した金額を、所得税額から控除することができる。
・住宅ローン減税制度
要件……床面積50㎡以上。
木造築20年以内、マンション25年以内。
・住宅リフォーム減税制度
返済期間が10年以上の住宅ローンを組んで住宅のリノベーション・リフォームを行う場合に利用可能。
■ MANUAL 3
予算別リノベーションプラン
資金計画を立てるには、希望する条件の物件購入費用の目安と間取り変更を含むリノベーションでどこまで変更できるのかを知っておきたいもの。
施工面積によってどれだけ金額が異なるのか、キッチン、トイレ、風呂、給湯器などの設備機器や配管などはどこまで変更できるのか、金額の目安を把握しておこう。
■ 500万円 ⇒ LDKに予算を集中 60㎡~70㎡3LDK
個室2部屋を既存利用することで、LDKに予算を集中。こだわりのリビングに。
畳スペースを小さくしたり、キッチンが明るくなるようにつり戸をなくした。築20年を経過しているため水回りの設備と配管は取り替え。
【point】
○廊下・LDK無垢フローリング
○設備配管水回り取り替え
○キッチン壁タイル
○LDK扉以外既存利用
○照明既存利用
○和室琉球畳
○個室一部既存利用
・DATA
種類:マンション
築年数:築25年
専有面積:86.48㎡(26.16坪)
施工面積:86.48㎡(26.16坪)
間取変更:3LDK→3LDK
施工箇所:全面
施工金額:720万円
工事期間:1.5ヵ月
家族構成:夫婦、子ども2人
■ 750万円 ⇒ フルリノベーション 70㎡~80㎡3LDK
大きな間取り変更はしていないが、LDKに面した室内窓や書斎の本棚、通路にもなるウォークインクロゼットやオリジナル窓・ドア・デスクなどに予算を確保。
居宅はすべて無垢フローリングに。築20年を経過しているため水回りの設備と配管は取り替え。
【point】
○全室無垢フローリング
○設備配管水回り取り替え
○キッチン壁タイル
○全扉取り替え
○ダクトレール+スポットライト
○カウンターデスクと木製窓
○造作家電カウンター
○通路にもなるウォークインクロゼット
・DATA
種類:マンション
築年数:築25年
専有面積:86.48㎡(26.16坪)
施工面積:86.48㎡(26.16坪)
間取変更:3LDK→3LDK
施工箇所:全面
施工金額:720万円
工事期間:1.5ヵ月
家族構成:夫婦、子ども2人
■ 1000万円 ⇒ 補強工事と外まわりも一新 憧れの戸建てリノベーション
大がかりな補強工事や全面改装が可能。1階にあった和室と応接室はLDKの一部に。
キッチンに立つとほどよく全体が見渡せるように。水回りの設備と配管は取り替え。お風呂はサイズを大きく。
広いLDKを確保する際に補強工事を行った。駐車できない庭は撤去し、車が2台駐車できるようにした。
【point】
○1階全室無垢フローリング
○設備配管水回り取り替え
○キッチン壁タイル
○1階扉取り替え
○ダクトレール+スポットライト
○黒板の壁
○ユニットバスサイズアップ
○梁・柱補強
○階段まわり
○外構(駐車スペース2台)
○2階表装工事
○屋根裏収納
○オール電化
○窓まわりアイアン造作
・DATA
種類:戸建て
築年数:築28年
延床面積:99.31㎡(30.04坪)
施工面積:152.8㎡(46.22坪)外溝含む
間取変更:5LDK+ウォークインクロゼット+屋根裏収納→3LDK+ウォークインクロゼット+屋根裏収納
施工箇所:全室+外構
施工金額:1,120万円(外構含む)
工事期間:1.5ヵ月
家族構成:夫婦
次回は「初心者のためのリノベーションマニュアル 2」 ⇒ ⇒ ⇒