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広島市のハザードマップと戸建て住宅の建築制限
2026年06月06日
広島市のハザードマップと戸建て住宅の建築制限
広島市で念願のマイホーム(戸建て住宅)を建てよう、あるいは購入しようと検討する際、間取りやデザインと同じくらい重要になるのが「土地の安全性」と「法的規制」です。
広島市はその独特な地形から、水害や土砂災害のリスクが全国的にも高い地域として知られており、自治体によるハザードマップの整備や建築制限が厳格に行われています。
本記事では、広島市で戸建て住宅を検討している方向けに、各種ハザードマップの見方と、それに対応する具体的な建築制限について分かりやすく徹底解説します。
本ブログをより理解して頂きための資料を作成しました。ダウンロードできますので、是非参考にしてください。

写真:西日本豪雨災害(岡山県)
1. 広島市における災害リスクとハザードマップの基本
広島市は、太田川下流の三角州(デルタ地帯)に形成された平地と、それを囲む広大な山地から成り立っています。この地形特性により、主に以下の2つの災害リスクに対して非常に敏感な地域となっています。
平地エリア:洪水・高潮・津波リスク
広島市中心部など平地の大半は河川に囲まれており、想定最大規模の豪雨が発生した際の洪水浸水想定区域が指定されています。また、南側は瀬戸内海に面しているため、高潮や南海トラフ巨大地震を想定した津波ハザードマップも重要視されています。
山裾・斜面エリア:土砂災害リスク
広島県は「土砂災害(特別)警戒区域」の指定箇所数が全国で最も多い県であり、約48,000箇所を数えます。特に広島市内の安佐南区、安佐北区、西区、佐伯区などの山裾にある新興住宅地や斜面地は、過去にも大規模な土砂災害を経験しており、厳格なハザードマップ管理が行われています。
これらは広島市洪水ハザードマップや広島市土砂災害ハザードマップとして、小学校区単位で精密に公開されています。不動産取引の際にも、水害ハザードマップを用いた重要事項説明が法律で完全義務化されています。
2. 土砂災害リスク地域における戸建ての建築制限
ハザードマップで特定の区域に指定されると、単に「危険を知らせる」だけでなく、建築基準法などに基づき、戸建て住宅を建てる際の法的義務や制限が発生します。まず、最も制限が厳しい土砂災害関連の規制から見ていきましょう。
① 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)
● 概要:
土砂災害のおそれがある土地の区域です。
● 建築制限:
建築基準法による特別な構造規制はありません。通常の戸建て住宅(木造など)をそのまま建築可能です。
● 注意点:
法的規制はないものの、将来的に「レッドゾーン」へ格上げされるリスクや、万が一の避難経路を確保した設計(高窓の配置など)が推奨されます。
② 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)
● 概要:
土砂災害が発生した場合に、建築物に損壊が生じ、住民の生命に著しい危害が生じるおそれがある区域です。
● 建築制限:
非常に厳しい「構造規制」が課されます。
● 鉄筋コンクリート(RC)造などの義務化:
想定される土石流の高さや衝撃力に耐えられるよう、外壁や構造耐力上主要な部分を鉄筋コンクリート造にするなどの対策が必要です。
● 木造住宅の制限:
一般的な木造の1階・2階建てであっても、斜面側の外壁を強固なRC造の防護壁にするなどの大幅なコストアップ・設計変更を余儀なくされます。
● 確認申請の義務化:
都市計画区域外であっても、レッドゾーン内に居室を持つ建築物を建てる場合は、必ず建築確認申請の手続きが必要となります。
③ 建築基準法に基づく「災害危険区域」
● 概要:
広島県では、「広島県建築基準法施行条例第3条」に基づき、「急傾斜地崩壊危険区域」を災害危険区域として指定しています。
● 建築制限:
この区域内では、住居の用に供する建築物の建築が原則として禁止(制限)されています。
ただし、知事や特定行政庁が安全上支障がないと認めた適正な擁壁(防護壁)などの災害防止工事を行うことで、例外的に建築が認められるケースもあります。

画像:土砂災害ポータルひろしま
3. 水害・浸水リスク地域における建築制限と対策
次に、川の氾濫や高潮、雨水が溢れる内水氾濫などの水害リスクと建築制限について解説します。
洪水浸水想定区域(ハザードマップの着色エリア)
● 建築制限:
一般的にハザードマップで「浸水深0.5m〜3.0m」などと着色されている区域の多くは、ただちに一律の「建築禁止」となるわけではありません。
● 戸建て建築時の工夫(自己防衛的な制限):
法的制限がなくても、ハウスメーカーや設計事務所からは以下のような水害対策仕様(設計制限)が強く求められます。
● 高基礎仕様:
基礎の高さを通常より高くし、床下・床上浸水を防ぐ。ピロティ構造(1階を駐車場などにする):居住スペース(居室)を2階以上に配置する。
● 電気設備の高所設置:
エコキュートやエアコンの室外機、室内の分電盤を浸水想定ラインよりも高い位置に設置する。

画像:広島市洪水ハザードマップ
4. 知っておくべき広島市の独自トレンド「逆線引き」
広島市での土地選びや戸建て建築において、近年最も注意しなければならないのが、都市計画上の「逆線引き(居住抑制施策)」です。
広島県および広島市では、平成30年7月豪雨をはじめとする度重なる甚大な土砂災害を受け、「災害リスクの高い区域における居住を抑制する」方針を打ち出しています。
● 逆線引きとは:
これまで家を自由に建てることができた「市街化区域」の中にある土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)のうち、まだ住宅が建っていない未利用地や店舗のないエリアを、原則として家が建てられない「市街化調整区域」へ編入(格下げ)する取り組みです。
● 戸建て検討者への影響:
「今は市街化区域だから将来家を建て替えられるだろう」と思って安易にレッドゾーン内の土地を格安で購入すると、都市計画の変更により将来的に再建築が完全に不可能になるリスクがあります。
広島市内で土地探しをする際は、その土地が逆線引きの対象エリアに含まれていないかを必ず確認しなければなりません。
5. 失敗しないための「土地選び」と「建築計画」3ステップ
広島市で安全に、かつ資産価値を落とさずに戸建て住宅を建てるための確実なステップは以下の通りです。
【Step 1】
「ひろしま地図ナビの防災情報」や市公式マップで、複数ハザードを重ね合わせて検索する
↓
【Step 2】
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)や災害危険区域は、原則として避ける
↓
【Step 3】
警戒区域内の場合は、RC防護壁や高基礎などの「災害対策コスト」を予算に組み込む
1.ひろしま地図ナビなどのポータルを活用する
広島市が提供するデジタルマップ機能を使えば、ピンポイントの地番で洪水・土砂・津波・災害危険区域のすべての重複状況を一元的に調べることができます。紙のマップは各区役所の地域起こし推進課窓口でも配布されています。
2.レッドゾーン・災害危険区域は避けるのが無難
鉄筋コンクリート造による構造補強や頑強な擁壁の設置には、数百万円以上の追加建築コストがかかります。また、将来の売却時にも買い手がつきにくく、資産価値が著しく下がる傾向にあります。
3.建築のプロ(設計士・工務店)に条例の適合性を確認してもらう
「広島県建築基準法施行条例第4条の2(がけ条例)」など、一般の人では判断が難しい斜面の高低差による建築制限が存在します。
土地の契約前に必ずプロに見てもらい、区役所の建築課へ事前相談に行ってもらいましょう。
まとめ:ハザードマップは「命」と「資産」を守る羅針盤
広島市での戸建て住宅建築において、ハザードマップと建築制限を無視することは、大切な家族の命だけでなく、数千万円という一生モノの財産を危険に晒すことと同義です。
土地の価格が相場より不自然に安い場合は、高確率でレッドゾーンや建築制限、将来の「逆線引き」といった法的リスクが隠れています。まずは広島市の公式ハザードマップを徹底的にチェックし、規制内容を正しく理解した上で、安全で理想的なマイホームづくりを進めていきましょう。
出典・参考元
広島市洪水ハザードマップ(広島市公式ウェブサイト)
土砂災害特別警戒区域内における建築確認申請(広島市公式ウェブサイト)
法令に基づく危険区域等に関するお問い合わせについて(広島県ホームページ)
広島県建築基準法施行条例第4条の2について(広島県ホームページ)
自然災害による被害の発生の防止又は軽減への配慮に関する基準(広島市公式ウェブサイト)
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